毎日、たくさんの方々に御覧いただいて、本当に感謝感謝です。
先日、お店にひとりの男性がいらっしゃった。もちろん、初めてのお客様。
俺の勘違いかもしれないが、お店に入ってくるなり、
その男性は、目を潤ませているように見えた。
その方は、実は俺と同じく、膝を骨折し、
2ヶ月の入院を経て、最近退院された方だった。
苦しい術後の経過とリハビリ、その割にはなかなか良くならない膝。
これからどうなるのかという暗中模索の中、
俺のBLOGの入院日記を見て、俺に会いたいと思って来てくれたのだった。
俺もそうだったんだけど、退院して間もなく、
病院ではいつも誰かがいたり、怪我をした人でも過ごしやすい環境だけど、
現実の生活に戻ったときのギャップに凹んだ。
日常生活のなんと大変なことか。
退院したとはいえ、立ったり座ったり、
階段を上ったり下りたりという、当たり前の動作に難儀する。
だから、毎日考えるのは、自分の膝のことが大半。
「この先どうなるのか?」
「そもそも治るのか?」
「仕事はどうする?」
「保険は?」
そして、膝のちょっとした変化に一喜一憂する。
そのお客様は、まさにそんな感じだった。
今、本当に大変なのだと思う。
正直、俺の膝も完治していない。
小走りくらいはできるものの、走れないし、階段の上り下りもまだちょっと膝が痛む。
もうそろそろ事故から五年も経つのにだ。
そのことも、正直にそのお客様にお伝えさせていただいた。
だからこそ、目を、怪我をした膝に向けるのではなく、
もっと外側に向けるべきだと。
そうすると、物事を考える優先順位の中で、
怪我した膝は、どんどん順位が下がっていって、ハッキリ言ってどうでも良くなる。
俺はちょうどそんなとき、まくろび庵をオープンすることになって、
内装のペンキ塗りから、簡単な工事から全部自分でやらなければならず、
膝が動かないとか言ってられなかったし。
膝の怪我の経過よりも、もっと大切なことがある。
とも、お伝えさせていただいた。
たぶん、この記事も、そのお客様に読まれることになるだろう。
お名前をお聞きできなかったんですが、お客様。
見てください。この俺の世界を。
俺は今、自由です。
俺は今、幸せです。
生活はまだ楽ではないけれど、
膝の怪我は、ハッキリ言って、もうどうでもいい。
っていうか、大げさに言えば、膝を怪我したから今があるんです。
出来事も、受け止めかた次第でどのようにも解釈できます。
大切なのは、それを自分の人生にどう生かすかです。
数年前、日常生活がままならなかった頃、俺は自分を障害者だと思っていた。
でも今は、健常者だと思っている。
膝の具合は、その頃とあんまり変わっていないのにだ。
変わったのは俺の意識、心だ。
一日も早く、そのお客様の心の平穏が訪れることを切に願っています。