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2004年07月19日

父 逝く。

俺には二人の父がいる。俺の本当の父と、母が再婚した父。

本当の父が逝った。


妹のところに警察から電話があり、
妹から俺のところに電話が来て父が逝ったことを知った。
早速妹夫婦と俺の3人で父の家に向かった。


父は、母と離婚してからずっと一人で暮らしていた。
父の家のお隣りさんが、先週から新聞が溜まっているし、
部屋の電気やテレビが付きっ放しだったことを不審に思い119通報。

父は一人で死んでいた。
死亡推定は先週の14日とされ、死後5日経って発見されたのだ。



現場に着くと、数人の警察官がいる傍らで、
父がシーツを掛けられて横たわっていた。


父と最後に会ったのは、もうかれこれ1年以上前になるか。
まさかこんな形で父と再会するとは夢にも思わなかった。


ちょっと生々しい話になるが、
この暑さで5日経っていたので、遺体はちょっと腐敗していた。
まだ、父の顔とわかるくらいであったのがせめてもの救いだ。


早速葬儀屋さんを手配し、到着を待ちながら遺品の整理。

父の遺体が横たわり、死臭漂う部屋の中で、
現実を受け入れられないまま時間が過ぎていった。

父が自分で録音した留守電の応答メッセージが
久しぶりに聞いた父の声だった。
それを聞いて、妹は泣いていた。



父と母は、俺が中学の時に離婚。
俺も妹も、母方についた。

離婚当初は小遣いをせびりによく父の家に行っていたが、
大人になるにつれ、父がしてきたことがだんだん許せなくなり、突然一方的に絶縁した。

顔を見ることも、声を聞くこともイヤだった。

絶縁状態が十数年続いたが、
あることをきっかけに、5年ほど前にまた復縁。


その後、年に数回は父と会っていた。
俺の仕事を手伝ってもらったりもした。


父と一緒に暮らした年月より、離婚後の年月が上回り、
いつしか、父がいないことが当たり前になっていたので、
現実、目の前に父の亡骸があっても、
遠い人というか、他人のような気がして、父の死が受け入れられなかった。


葬儀屋さんと相談の上、遺体の傷みが激しいので、
通夜はせずに、明日いきなり火葬から葬儀、納骨まですることにした。


出棺が終わり、遺体が車に乗せられて火葬場へ運ばれていく様を見て、
すこし、「あぁ、父がもうこの世にいないんだなぁ・・。」
という実感が湧き、ちょっと切なかった。



明日の葬儀で喪主を務めることになり、
礼服を持っていなかったので買いに行った。


紳士服屋さんで、店員さんに「礼服をください。」と言ったところ、
「ハッ!」とした感じで「お急ぎですよね。」と一言。
「ええ、父が亡くなって・・。」と言っただけですべてを理解し、
テキパキと手配をしてくれた。

アカの他人の、はじめて会った人なのに、
礼を尽くして接客してくれる店員さんの心配りがうれしかった。


とりあえず、出棺が終わってホッとして、友人に電話をし、弔報を報告。

「大変だったね・・。」

「それはビックリでしょう・・。」

「気を落とさずに・・・。」

「手伝えることがあったら何でもするから遠慮せずに言ってくれ。」

「明日俺も葬儀に行くから。」


様々な声をかけてもらって、
はじめて父が逝ったという実感が湧いた。

妙なことに、父の亡骸を目の前にするより、
まわりからかけてもらった言葉で、はじめて実感が湧いたのだ。

まわりがかけてくれる一言一言が、
「じわ〜ッ」と沁みてきて、ありがたさと、父のいない寂しさが湧いてきて、
礼服を買った帰り道、車を運転しながら一人で泣いた。


父はおとなしく、人付き合いも下手な人だったので、
明日の葬儀はひっそりと、こぢんまりしたものになるだろう。

まさかこの歳で、喪主をすることになるとは、夢にも思わなかったが、
父が安心して成仏できるよう、精一杯務めようと思う。


父は、たぶんこの世にもう執着などないだろう。いい意味で。

ただ、俺の心残りとしては、酒の弱い父ではあったが、
一緒に酒を飲んでみたかった。

一度もないからだ。ただの一度も。


お父さん、来世では一緒に酒を飲みましょう。

お父さん、ありがとう。
ラベル: 家族 感動
posted by わこう at 23:42| Comment(12) | TrackBack(1) | 普通の日記。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご愁傷様です。
お父様がお亡くなりになった文章を見て、泣けました。

自分も、父母を離婚させた人間なので、気持ちがそのうち・・・同じように分かるようになるとは思います。
ただ、やはり、今は健在している父が許せないのです。(子供かもしれません)

お父様のご冥福をお祈りいたします。


失礼いたしました。
Posted by 稍 at 2004年07月20日 00:01
わこうちゃん、お父様のご冥福を心からお祈りいたします。
私も忙しくしておりまして 久々にミクシィを開いて
驚きました・・・家も今年の三月に父が亡くなりました。
わこうちゃんの仰ること すごく解りますよ。
父の死と言うより周りからの優しいお言葉、また家族
のように手伝ってくださった方々のありがたみがひしひしと
身に沁みる思いでした。
家は兄も若くして亡くなっていまして 母は老体・・・
自分が喪主を勤めるなんて夢にも思わなかったです

しっかりしようと 頑張ってるのに弔問に訪れた方々を
みるたびに 涙する私でした。

何はともあれ そのときは気が張ってるけど終わって
からが 疲れるからね。くれぐれも無理しないでね

明日はお父様の野辺の送りをしっかりしてあげてください。
妹さんにもどうぞ、頑張って!と、お伝えください
ね。

Posted by さっちん at 2004年07月20日 00:32
稍さん、コメントありがとうございます。
共感していただけてホントにうれしいです。

今またしみじみと振り返ってみて、
五年前に復縁しておいて本当によかったなぁと感じています。

なんか、自分がこう言うのもなんなんですが、
稍さんにも本当にいろんな事があったんだとお察しします。

人を許すって、ものすごくパワーや勇気が必要だと思います。
なので、軽々しく「許したら」とは言うつもりはありません。


ただ、ちょっとでも「いつかは・・」という気持ちがあるのであれば、
いつか許すための勇気やパワーを、
少しずつでも蓄えてみてはいかがでしょうか?

結局は、いろんな事を考えたり、悩んだり悔やんだりするのは、
逝った側ではなく、残された側の問題ですから。

生意気言っちゃってすいません。


よかったら、また覗きに来てください。
Posted by わこうちゃん。 at 2004年07月20日 00:59
さっちん、ありがとう。

今日一日だけで、出棺が終わった瞬間、
ヘナヘナと力が抜けていく感じでした。

明日もいろいろ忙しいし、
葬儀が終わったら、父の部屋の後かたづけなど
やることがいっぱいありますが、
より返しが来ないように、適度に力を抜きながらやります。


いつも暖かいコメント、本当にありがとう。
Posted by わこうちゃん。 at 2004年07月20日 01:04
この場を借りてお悔やみを申し上げます。

復縁してて良かったですね^^
人間、自分が死ぬのって実はそれほど嫌なことではなくて、この世にやり残した事ががあるかどうかだと思ってるんですよ。
お父様の場合は、息子も立派になってて復縁も果たしてて、、、
きっと思い残すこともなく旅立たれたと思います。

お父様を亡くされたわこうさんのお気持ちは察するに余りありますけど、今はそう考えたいですね。。。
Posted by さいとう@エフスタジオ at 2004年07月20日 01:47
お悔やみ申し上げます。

僕も丁度3年前に同じ事を思い、礼服売り場で同じ経験をした事を思いだしました。
会社に電話をしてママの声を聞いた時に、初めて泣き崩れた事も思い出しました。

どうぞ、立派な姿で見送ってあげて下さい!
この地から無力ではありますが、ご冥福をお祈りいたします。

Posted by じゅび at 2004年07月20日 02:17
この度はご愁傷様でございました。

複雑な気持ちでわこうさんの文章や
みなさんのコメントを読み返しています。
うちも複雑な環境でしたので
言葉の一つ一つがいろいろな意味で胸に響きます。

お父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
Posted by NEKO at 2004年07月20日 10:11
お悔やみ申し上げます。

なんか、上手くいえないんですが・・・

近いうちに、
三重に行きますので一緒に行きましょう。
Posted by コンちゃん at 2004年07月20日 10:34
お父様のご冥福を心からお祈りします。

慌ただしく、悲しみの癒えない中で、こうした記事を書かれた時のわこうさんの心を思うと、涙が出てきます…
これまでの気持ちはとにかく、
今はただ、お父様の冥福を祈ってあげてください。

私事ですが、
私も生後8か月で両親が離婚し、育ててくれた父は今、離れた地で独り暮らしています。歳が歳なんで、父親が病気で倒れて助けを呼べないでいたらどうしよう…といつも心配しています。

Posted by gen at 2004年07月20日 11:05
お悔やみ申し上げます。

私も半年前に父が倒れて以来、少しずつ少しずつ「親を亡くすこと」について覚悟を決めているような気がします。
でもうちの場合は、なんとか元の生活に戻れ、猶予ができました。

わこうさんの場合は、猶予がなかったのですよね。
「他人のような気がして、父の死が受け入れられなかった」・・の言葉が沁みます。

亡くなる方にとって最もつらいのは「忘れ去られてしまうこと」だと言われますよね。
お父様との思い出をこれからも大事にされてください。

お父様のご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by cathy@おぎのん at 2004年07月20日 22:41
お悔やみ申し上げます。

突然のことでお力をおとしのことと思います。
「お父さんありがとう」のコトバは、きっと
お父様に届いていると思います。

お父様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
Posted by イトウちゃん at 2004年07月21日 00:23
心からお悔やみ申し上げます。

こばちゃんから電話が来て、お父さんが亡くなったことを知りました。ブログに載っているんだ、と思いながら、わこうちゃんのブログが開けなくて、やっと今日読みました。

私は、自分の母、夫の両親と、ほぼ絶縁状態にあります。実家に帰っても、母とはこの10年全く口を利いていません。どんなに考え悩んでも、どうしても母が許せないのです。そして夫の両親も・・・。

人って、みんな幸せそうに見えるけど、人には言えない悩みがあるんですね。わこうちゃんとはちょっと違うかもしれないけど、親に愛されてみたいな〜っ、今も夢みます。切ないです。

お父様のご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by ていこさん at 2004年07月21日 20:36
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