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2010年03月19日

【回想録】刺青と子供達。

今日書く話は、今まで、ごく一部の本当に親しい人にしか話さなかったこと。

このBLOGに、回想録を書くかどうするか迷っていたのは、
書くなら、この記事を避けるわけにはいかないから。


が、今、俺の中にいろんな心境の変化の波が起きていて、
そろそろ、いろんな意味で解放したい(されたい)思いが強く、
思いきって書くことにする。




俺には2人の子供がいる。
上は女の子、下は男の子。


子供たちは2人とも、俺にとても懐いていた。

俺も、子供たちを溺愛していた。



俺はトラックの運ちゃんとして働いていたわけだけど、
キツイ仕事をこなせたのは、子供たちがいたからだ。


やっぱり、守るべきものがあるっていうのは強みだね。


自分だけじゃないpowerが生まれる感じ。


が、トラック稼業も、繁忙期になると家にほとんど帰れない。

ピーク時は、1ヶ月の間に、家にいるのが2日とか。


それでも当時、子供たちは俺のことが大好きで、
俺が家に帰ると、ベッタリで離れようとしなかった。


という記憶だ・・。


特に、下の野郎ッ子は、夜遅くに子供たちを起こさないようにそーっと帰っても、
気配を察して起きてくる。

当時2歳。一番めんこい時だ。


で、俺と一緒に風呂に入りたくて、「アー、ウー」って言いながら、
自分で服を脱ごうとする。

すでに風呂に入ったにもかかわらずだ。


で、俺と一緒に風呂に入るとゴキゲン。




今思い出しても、胸がキューンとなるよ。

2人とも、本当にめんこかった。



その後、いろいろあって(その辺は書きたくない)
離婚する事になったわけだけども、
そんな子供たちと別れるのは、身を裂かれるような痛みと悲しみがあったね。


離婚が決まり、俺が家を出て行く日。

最後の思い出づくりにと、遊園地に行った。



当時の嫁さんと俺、そしてふたりの子供たち。

遊園地で思いっきり遊んだ。



そして最後の別れ際。



子供たちには、

「パパはお仕事で遠くに行くんだよ−。」

と言った。



そして、それまで自分が住んでいた家に、当時の嫁さんと子供たちを送り、
自分の家なのに、そこから別な場所に帰らなければならない違和感を感じながら、
子供たちに最後の別れを。

もちろん、子供たちはそんなこと知らない。




上の子が、

「パパー、お仕事頑張ってねー!いってらっしゃーい!」

と。


下の子も、「アーウー」言いながら手を振っている。



俺は、

「じゃーねー!行ってくるからね−。おりこうさんしてるんだぞー。」

って言うのが精一杯。



嫁さんに手をつながれたふたりの子供たちを、
ルームミラー越しに見たのが、最後の姿となった。


ルームミラーから子供たちの姿が消え、
ひとつ角を曲がったとたん、いろんな感情が溢れてきて、
車の中で独り、崩れ落ちるように嗚咽した。


あんな悲しみは、生涯で初めてだ。


12年前の話。




そして、俺は、離婚が決まったときに、刺青を入れようと思っていた。

ライオンの刺青。



子供たちは、ディズニーのライオンキングが好きで、
しょっちゅうビデオを見ていた。

で、なぜか、父ライオンが出てくると、俺の顔を見ては、

「パパ、パパだ!」

と、言っていた。



だからライオンの刺青。


刺青を彫る痛みを忘れないこと、
そして、服を脱いだとき、ライオンの刺青を見るたびに、子供のことを思い出すこと、
それを自分に科したのだった。


まぁ、今思えばなんて安易というか、短絡的なんだろうって思う。


だけど、その時は、それが自分にできる精一杯だったんだな。



ただ、今でこそタトゥースタジオとかたくさんあるけど、
12年前なんて、刺青彫ってくれるところを探すのだって大変。

しかも、業界が業界だしヤクザの友達とかたくさんいたけど、
俺が刺青を入れることは、絶対に言いたくなかった。

特に、親しい友達には。


だから、なんとしても自力で探すしかない。


で、結局、週刊誌の刺青特集なんかによく出ていた、
弘前の彫り師さんを見つけて、コンタクトを取った。


初代奥州彫和先生。


現在は、青森市内にスタジオを構えているようだけど、
当時は、弘前にアトリエ(?)があった。


で、アポイントを取り、雪の降る中、通行止め寸前の東北道を、
当時乗っていたアストロで、ケツを振りながらぶっ飛ばした。


彫和先生に、どんな図柄がいいと聞かれ、ライオンと答えると、

「ライオンかー、トラはあるけど彫ったことねぇなー。」

と。


で、2人で、タトゥー雑誌を見ながら、ライオンの図柄を探し、
だいたいのイメージがついて、いざ彫ってもらうことに。


布団に横になると、先生が、

「あのね、ウチの機械、自家製だから痛いからね。」

「スジ彫りだけは機械で彫るから。

と。



そして、俺の胸元に、人生で初めての針が入った。

頭の先からつま先まで、電気が走るような痛み。


2秒で後悔した。
いやー、自家製だからなのか何なのか、とにかく痛かったよ。マジで。


が、子供たちのことが脳裏をよぎり、とにかく耐えた。


5分もすると、あまりの痛さに、全身脂汗でびっちょり。



先生は、間髪入れずに、針を入れる。

ジジーッ・・ジジジーッと、独特な音が耳に入ってくる。


スジ彫りが終わったころには、もうグッタリよ。



しかし、それではまだ半分も終わっていない。


先生は、あまり痛くてひどいようだったら、
続きは日を改めてでもいいよと言ってくれたが、そのまま続けてもらった。


その後、手彫りでシュピッシュピッと、スジ彫りの中を塗りつぶしていく。

自家製マシンのスジ彫りの痛さに比べたら、手彫りは痛くなかった。


そんなこんなで2時間。


かくして、俺の胸元には、鋭い眼光で睨むライオンが彫られた。


掘り終わった安堵感と共に、俺は一生これを背負って生きるのだという切なさで、
グッとこみ上げてきた。



おふくろ、ごめん。




かくして、彫和先生に別れを告げて、雪の東北道を帰ってきた。

その日は夜から、会社を辞める仲間の送別会があり、
そのまんま飲みに出て、勢いでベロンベロンに酔っぱらった。



何やってんだろ・・。俺。





その後、刺青を入れて、親からもらった身体を傷つけたことで、
おふくろに対しての後ろめたさがあって、
おふくろにだけはどうしても黙っていられなくなった。

おふくろに刺青を入れたことを話すと、最初、ビックリした様子だったが、
事情を話すと、目に涙をためながら聞いてくれた。


本当に申し訳ない。




その、最初の刺青から12年。

その後、さらに2人の彫り師との出会いがあり、
ライオンに加えて、龍や蓮の花などなど、俺の刺青はどんどん広がり現在に至る。


その辺のことは、機会があったら追々書こうと思う。



今、刺青というか、タトゥーは、すっかりファッションとして認知された。

彫り師の数も、劇的に増えた。


そして、刺青やタトゥーが、だいぶオープンになった。



一見、おとなしそうな普通の女の子でも、ワンポイントが入っていたりして、
そういう意味ではいい時代になったなーと思う。



ある意味、子供と別れた悲しみを背負うなどと言って、
気負って刺青を入れた自分が、バカバカしく思えたりもするし、
そんな理由が無くても、もしかすると、ファッション的に刺青を入れたかもしれない。



刺青やタトゥーを入れる理由なんて、100人いたら100通り。


でも、それでいいと思う。


暗くて重い理由や決意が無いと、刺青を入れられない時代は終わって、
オープンなファッションとしてタトゥーを楽しむ。


それでいい。



だけど、俺の中にある真実は、
服を脱ぎ、刺青があることを自覚することで、2人の子供たちを思い出すということ。


俺の真実はそれでいい。



そして、俺のその真実は、生涯続いていくのだ。


 
ラベル:回想録 刺青
posted by わこう at 02:11| Comment(4) | TrackBack(0) | 回想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わこうさん、こんにちは。
ブログは時々読ませてもらっていましたが初めてコメントします。

今回の記事グッときてしまいました。
同じ体験をしている者として、共感以上の揺さぶられうような気持ちです。。。

人生に無駄なことはないかもしれないけど、こんな経験しないですめば良かったのにといつも思います。

わこうさんの思いが、お子さんに伝わっているといいな。
Posted by てんこ at 2010年03月22日 14:49
おはようございます、いとうです。

この話は今回が初めてです。



アタシなりの感想。

お袋さんに怒られなくてよかったですね。

もしアタシが彫り物して、親父とお袋に知れたら・・

怖いですね。

でも、自営業で何とかやっていけるようになったら、

っていう夢は捨ててないです。

どのくらいで音を上げるか楽しみで楽しみで〔笑〕
Posted by いとう at 2010年03月23日 08:01
自分も背中の左側の肩に鯉、右側の腰に龍を入れています龍は工事中です鯉は去年入れ龍は今年になって入れ始めました。同じような心境です。これからも頑張って下さい生意気言ってすみません
Posted by さる at 2012年01月09日 12:41
自分も背中の左側の肩に鯉、右側の腰に龍を入れています龍は工事中です鯉は去年入れ龍は今年になって入れ始めました。同じような心境です。これからも頑張って下さい生意気言ってすみません
Posted by おおもり at 2012年01月09日 12:42
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