一緒にお店をやっている13うさぎちゃんから、
「お店の前に、大量の大根が置いてあるんだけど、心当たりない?」
と、突然電話があった。
そんなこと突然言われてもなぁ・・・。
とにかく店に戻るからと伝え、急いで店に帰った。

確かに、すごい量の、立派な大根が店の前に・・・。
誰だろう・・・。
近寄ってみてみると、

「若生 食え」と、書かれた短いメッセージ。
俺はピーンと来た。
K野さんだ・・。K野さんに間違いない。
この、一見投げやりなのに、とても愛があふれる言葉と、
店の前におもむろに置いてあるという行動。
間違いなくK野さんだ。
K野さんとは、去年、「これで食いつなげ。」と、
突然俺の家に玄米を30キロを持ってきてくれたKさんのことだ。
そのことについての過去記事はこちら。
相変わらず、うれしいサプライズを仕掛けてくれるニクイ人だ。
K野さんの家は、兼業農家なのだが、以前、K野さんがお店に来てくれたとき、
「根菜は、霜がつくと、寒さから自分の身を守って、
エネルギーを蓄えようとするために、どんどん甘くなっていくんだ。」
という話をしてくれて、俺も13うさぎちゃんも、その話に感動していたのだった。
そのとき、K野さんはたしか、
「今度、根菜ができたら持ってきてやっから。」
と、言っていたような気がする・・。
言ってなかったよな気もするが・・・。
いずれにしても、俺のためにわざわざ大根を掘って、持ってきてくれたのだ。
その優しさと、心意気に、ジーンと胸が熱くなった。
K野さんだということに、ほぼ確信はしていたものの、
聞いてみないとわからないし、もしそうだったとしたらお礼も言わなきゃと思い、
早速K野さんに電話した。
「おぉ、なんだわこう、久しぶりだな。」
と、いかにも知らないような口ぶりで電話に出たK野さんだったが、
「店の前に大根置いていったでしょ。」
と言うと、
「わかった?」
と。
なんだか、そのわざとらしさがまたいいんだ。これが。
感謝の気持ちを伝え、少し近況を報告しあって電話を切ったが、
なんだかうれしくて、しばらくウキウキしていた。
ちなみに、俺は今までたくさんの人に出会ってきたが、
K野さんは、俺が知る「男気を持つ人」の中でトップ3に入る人だ。
本当の男の優しさを知っている、尊敬すべき人なのだ。

「わこう、食え!」と、K野さんの声が聞こえてきそうな、
そんな愛情がいっぱい入った大根。
大切に食べさせていただきます。
お店でも使わせていただくので、愛情に飢えている人は、
ウチの店にK野さんの大根を食べに来てください。
きっとこころがホンワカするはず。
K野さん、ありがとね。