膝の具合は、曲げはだいぶ曲がるようになったものの、
動かしてもまだギシギシ言うし、歩くとき微妙に引きずることもあるし、
階段の上り下りも激痛が走るし、痛くて走ることもできない。
事故〜入院〜リハビリ〜退院〜社会復帰の経緯は、
こちらのカテゴリにすべてあります。
主治医の先生と相談し、後遺障害申請を行ったのが今年の3月。
交通事故の場合、役所に申請する障害手帳の交付申請とは別に、
事故による後遺症が認められた場合に、
損害賠償などを算定するための機関があり、その等級応じて賠償額を決めるのだ。
まだ示談も済んでいないし、損害賠償については、
弁護士さんとじっくり打ち合わせをしながらここまで進めてきた。
俺も弁護士さんも、当然俺の足がこんな状態だし、
後遺障害に認定されて当然だとタカをくくっていたんだけど、
約三ヶ月かかって算定機関から帰ってきた答えは、
「後遺障害とは認められません」
だった。
俺も弁護士さんも、その回答にアゴが外れてしまった。
理由はいくつか挙げられていたが、
要約すると、事実の部分では、膝も曲がってるし、
手術痕も手のひら内に収まるサイズだし、後遺障害には該当しないと。
さらに、「痛い」だの、「苦しい」だのといった、自覚症状の部分は、
基本的には認められないというか、そもそも申請書に書く欄すら無いのだ。
主治医の先生は、
「それでも、将来出てくる後遺症の可能性はできる限り書いたんだけどね・・。」と。
算定機関には、その結果に不服の場合、異議申し立てができるんだけど、
そのあたりからの線で主治医の先生に聞いてみたんだけど、
「あれだけ書いて通らないんだとしたら、異議申し立てをしても、
算定がひっくり返ることはまず無いでしょう・・。」
と。
さらに先生は、
「私も個人的には認定を取らせてあげたいんだけどね・・。非常に残念だ。」
とも。
俺の担当弁護士さんも、この結論にはだいぶ不服のようで、
「まことに心外です・・。」
と。
たしかに、俺もその結論を聞いたときには正直体の力がヘナヘナと抜けてしまった。
1年半も示談をしないで頑張ってきたのは、
ある意味、キッチリと損害賠償をしてもらうためだったし。
事故の相手のタクシー運転手は、
俺が入院中に度々見舞いに来ては、俺の車椅子姿や、
手術痕を見ては泣いて謝っていったので、そんなに恨みはないんだけど、
その相手のタクシー会社の対応、相手の保険会社の担当者の対応には、
ハラワタが煮えくりかえるような思いを何度もしてきた。
去年の今頃は、人間不信に陥って半分引きこもってたし。
で、異議申し立てや、裁判といった争う方向で、
逆転の可能性が全く無いわけではないし、
弁護士さんもその可能性を何とか探ろうとして頑張ってくれた。
俺も最初は全面戦争もアリかななんて最初は思っていた。
しかしですね・・・。
去年の8月から状況が一変して、13うさぎ(ちゃん)と出会い、
9月に突然、我が店「まくろび庵」オープンする運びとなり、
めまぐるしい生活環境や人間関係の変化、
様々なメディアでの紹介なんかで、露出度も上がってきて、
先日書いた記事のように、
「給料いらないから働かせてください!」
という二人の若者の出現、教室の生徒さんたちや、
コアなお客さま方、おふくろをはじめとした身内の人たちの暖かい支援・・。
本当に、喜びや感動の毎日で、
俺はこんなに幸せでいいのだろうかと思ってしまうほどだ。
以前何度か記事にしたことがあるが、
右足が壊れた代償として得た物は、余りあるほどの喜びだ。
本当に涙出ます。
そういう人たちに囲まれて、
しかも、自分の店を持ってやっていくのに多大なエネルギーを使う中、
異議申し立てや裁判といった、「負」のエネルギーは、
正直今は使いたくないというのが本音だ。
さらに大きく考えれば、今まで何回もハラワタを煮え繰り返させられた、
相手のタクシー会社や保険屋の担当者、相手の弁護士などなど、
そんな相手をも許すことができたらすげぇだろうなぁと。
そして今回、後遺障害認定が受けられなかったということも、
ひとつの気持ちの区切りになって、
争わずに相手を許すことにして、示談を進めることにした。
めんどくさいからと、妥協するわけじゃない。
争うのが恐いからと、逃避するわけでもない。
関わるのはもうこりごりと、ナアナアに、うやむやにするわけでもない。
許すのだ。
全面的に許すのだ。
昨日その旨を、こちら側の弁護士さんに伝えた。
たぶん、状況は示談に向けて一気に進んでいくだろう。
もし、相手のタクシー会社の所長や、相手の保険担当者なんかが、
突然俺の店にコーヒーを飲みに来たとしても、
俺は誠意を持って、礼を尽くしてコーヒーを煎れるだろう。
許すっていうことはそういうことだ。
もうすぐ8月。
去年の8月に、今の店の賃貸契約を結んでから、
怒濤のように物事が動き始めた。
あれから一年が経つのか・・・。
先日、ウチの生徒さんが、杉の木(?)の板をくれた。
ウチの店のオモテにかけてある看板も、俺が彫刻刀で彫った手作りなんだけど、
(その記事はこちらをクリック。)
和室をオープンするにあたって、その木の板も看板に仕立てた。

こんな感じ。
約一年前にいろんな事を想いながら、看板に彫刻刀を入れたことを思い出しながら、
またこの杉の板に彫刻刀を入れた。
文字の部分を黒ペンキで塗って塗膜を盛り上げ、
仕上げにニスを塗って、やっと今日完成した。
写真だと平面的でわかりづらいかもしれないけど、
かなりのイイ仕上がりに、自我自賛だ。
自分が許すと決めた想いも、この杉の看板に乗っかっている。
この看板が、ウチの店の第二の顔になっていく。
看板見るたびに泣きそう・・。
さあ!前に進むぞ!