最近、通勤は極力車を使わず、チャリンコだ。
我が愛車マングースちゃんで、街中を颯爽と流していると、ホント気持ちがいい。
が、過去に何回か書いているが、俺は元トラック野郎だ。
10トン車に2年、トレーラーに5年乗っていた。
チャリンコからトレーラーまで、車と付くものはなんでも乗るのだ。とりあえず。
一輪車はダメ。
さて、昨日の朝、チャリで颯爽と少し細い道路を通っていたら、
工事現場の誘導員に停められた。
工事現場に重機の引き上げのため、重トレ
(重機を運ぶ幅広のトレーラー。俺等は16輪と呼んでいた。)
が、道路幅一杯使って、現場に車庫入れをしていたからだ。
当然その間、道路は歩行者も含めて全面通行止めだ。
ご存じの通り、トレーラーって、ヘッドとシャーシが別々になっているが、

直径約5センチくらいの、鋼鉄のピン一本でつながっているだけなので、
クネクネと曲がるので、バックして狙ったライン通りに車庫入れするのって難しいのだ。
昨日の朝のその運ちゃんは、けっこうベテランのようで、
狭い道路にもかかわらず、器用にバックして現場に入っていった。
俺と一緒に歩道で足止めを食っていたスーツ姿のおにいちゃんがボソッと、
「芸術だ・・。」と言っていたのが印象的だった。
っていうか、過去には俺もそう言われていたのだ。
トレーラーを運転するためには、けん引免許が必要なのだが、
俺は10t車で仕事しながら、合間を見つけて自動車学校に通ってけん引免許を取った。
それまで、普通も二輪も大型も、ストレートで一発合格してきたのに、
けん引で初めて追試を受けることになり、苦虫を噛むほど悔しい思いをした。
とにかくトレーラーのバックは難しかった。
っていうか、当時はそう感じた。今はなんて事ないけど。
ピン一本だし、勝手にクネクネ曲がってくから、まっすぐバックする事すらままならない。
しかも、パニクると、も〜どっちにハンドルを切ればいいのかすらわからなくなるのだ。
トレーラーのバックの特徴として、アタリをつけるために、
一度ハンドルを逆に切って、シャーシの向きを意図的に曲げていくのだが、
慣れるまではこの加減が超むずかしい。
俺がトレーラーに乗りたての頃は、よく先輩に、
「狙ったライン通り一発で入れられるまでには3年かかる。」と言われた。
ある意味それは本当だった。
3ヶ月や半年も乗れば、それなりに車庫入れはできるようになるのだが、
他のトレーラー乗りがいるときなんかは特に、カッコイイとこ見せたいから、
「今のバックは60点だな・・。」なんて、自己評価を付けるようになる。
こうして、トレーラーの「バック道」というドロ沼に入っていくのだ。(笑)
毎日毎日、5年も乗り続ければ、いろんなハプニングに出逢うこともある。
ある日、千葉県の荷主に行ったとき、曲がる道路を一本間違えちゃって、
道幅はどんどん狭くなっていって、
通勤ラッシュの時間帯だから、前も後ろも車がビッチリ。
大渋滞を引き起こし、ラジオの道路交通情報で読まれてしまう始末。(笑)
向きを変えるのに、道路沿いの広い農家の庭先にバックで入れさせてもらった上、
その家の人に誘導までしてもらっちゃって、
バックが完了したときには、拍手まで沸き起こってしまった。
も〜、祭りだ。(笑)
しかも、家の人にお茶までごちそうになっちゃったし。
その農家の人は、トレーラー乗りと話したことなんて無かったらしく、
目をランランと輝かせながら、いろんな事を質問してきて、
それに答えるたびに、「へぇ〜ッ!へぇ〜ッ!」と驚いていた。
も〜、スターのノリだ。
そもそもは、道を間違えたアンポンタンだというのに。へへ。
そんなこんながあって、度胸がついて、運転技術が磨かれていくのです。(苦笑)
久しぶりに間近でトレーラーの車庫入れを見て、そんなことを思い出していた。