先日、今度オープンするショップ用に、
昔使っていたコンポを実家から持ってきて設置した。
画面右端に、黒っぽく写っているのがそれだ。
しばらく実家で眠っていたコンポだが、
またこうして使えることになるとは夢にも思わなかった。
思い入れのあるコンポだけに、スゴイうれしい・・・。
実はこのコンポ、俺が二十歳になったばかりの時に、
初めてバリバリのローンを組んで買ったものなのだ。
もうかれこれ17年前か・・。 うへぇ・・。
ケンウッドのエスパスというシステムコンポ。
当時、ミニコンポが大流行していて、
各オーディオメーカーは、しのぎをを削ってミニコンポ合戦を展開していた。
そんな中、システムコンポでありながら、
一つ一つがバラコン(懐かしい響き・・)のクオリティを持つという、
ちょっと変わったコンセプトで作られたシステムだ。
なので、性能も群を抜いていたが、値段も群を抜いていた。
当時、俺はバンドを組んでいたが、ギターのヤツが大のオーディオマニアで、
サンスイのアンプに、ナカミチのデッキ、JBLのスピーカーなどなど、
バラコンですげぇいい音を出していた。
そいつの部屋で、ツェッペリンの天国への階段なんか聴かされたりして、
その音の良さに衝撃を覚えたのと同時に、
「ムキ〜ッ!く、悔しいぃ〜ッ!」
と嫉妬したことを、今でもハッキリと覚えている。
で、仙台に昔からあるオーディオ専門店に立ち寄ったときに、
店員さんから、
「発売されたばかりのコンポです!スゴイですよ!この音は!」
と、奨められたのがこのエスパスだった。
確かに試聴してみたが、ミニコンポとは比べものにならないほど、
音が澄みきって、大胆かつ繊細な、素晴らしい音だった。
す・・すげぇ・・・。
すっかり惚れてしまった・・・。
ちなみに当時のミニコンポは、当時の価格で最上位機種でも30万くらい。
しかし、このエスパスは、メーカー希望価格が約60万。
俺は、レコードをあまり持っていなかったので、
レコードプレーヤーを省き、スピーカーのランクを一つ下げても50万だった。
しかし、そのオーディオ専門店の店員さんは、
「これはまだ東北で一台も売れてないんです!
ウチとしても専門店の意地がありますから、何としても第1号を売りたいんです!
値段は勉強しますから、わこうさん!買ってください!」
と。
気が付けば、生まれて初めてのクレジットの申込書を書いておりました・・。
しかし一つ問題が。
二十歳になったばかりのぺーぺーが、
コンポにン十万ものクレジットを組んだなんて、おふくろにバレたら殺される・・。
しかも同居だし。
しかし、一時でも早く新しいオーディオを聴きたい!
そのジレンマに揺れながら、配達日を指定した。
最短で配達をしてくれるという日は、
実は会社の研修かなんかで、午後から出勤して2泊ほど外泊する日の出発日だった。
俺の頭の中では、
・おふくろは仕事で家にいない
・午前中配達をしてもらう
・速攻でコンポを組む
・箱類はきれいに潰してベッドの下に隠す
・堂々と研修に出かける
・当たり前に部屋にコンポを設置すれば、おふくろにはバレない
という、完璧なシナリオが組まれ、
なんの疑いもなく、その日を配達日に指定した。
ところがですな・・
配達のおっちゃんの手違いで、モノが届いたのがほぼ正午。
遅くても午後1時半には家を出なければいけなかった。
しかもこのコンポ、鬼のような配線の数!
配線図を見てもさっぱりわからん!
時間が迫っているので、気ばかり焦ってパニック寸前!
しかも突然おふくろが帰ってきた!
大量の段ボールと梱包材が部屋に散乱!
も・・もうだめだ・・・。予想外のハプニング続出で、もう泣きそう・・。
もうやぶれかぶれで、
「俺の部屋、絶対覗かないでねッ!」
と、おふくろにワケのわからない言葉を言い放ち、研修に出かけた。
しかし・・
「覗かないでね」なんて言えば、何か隠してるのがアリアリだ・・。
研修中、自分が取った行動を思い出しては、
恥ずかしさのあまり、
「キャァ〜〜ッ!」
と叫びたかった・・・。
研修が終わって恐る恐る家に帰り、
おふくろの顔を見て凍り付いたのは言うまでもない。
そんなコンポです。
皆さん、ショップにおいでの際は、
この恥ずかしい思い出プンプンのコンポの音を聴いてやってください。
お願いします。(笑)