突然だが、俺は高所恐怖症だ。
どのくらい恐怖症かというと、プールで監視のお兄さんが座る、
はしごの上に椅子が付いたようなヤツ(名前がわかんない・・)に座っただけでグラグラだ。
もうかれこれ、五年くらい前になるだろうか。
ある日突然、高所恐怖症を克服しようと思い、バンジージャンプに挑戦しにいった。
今考えると、「バンジー飛ぶ」→「恐怖症克服」っていう構図も、
何の根拠があるわけでもなく、ただ無謀だっただけのような感じもするが。
まぁ、青かったんですな。
仙台でのバンジースポットは、仙台ハイランドが有名だ。
仙台ハイランドバンジーのページ
ここには、高さ24mから落下する「縦バンジー」
の他に、
高さ31mにめがけて、地上から一気に吹っ飛んでいく「逆バンジー」
、
スーパーマンスタイルで、60mを振り子のように行ったり来たりする「横バンジー」
という、3つのバンジーがある。
も〜、ネーミングやコンセプトからしてベッタベタだ。
こういうの好きなのね、俺。
で、その日は、ベーシックな「縦バンジー」を飛ぶことを目標に、
当時付き合っていた彼女と一緒に、仙台ハイランドに乗り込んだ。
曇天の中、不気味にそびえ立つ、縦バンジーの飛び降り台。

まるで処刑台だ。
バンジーを申し込んだら、
「何があっても責任は問いませんよ」という旨の書類に署名させられた。
その時点ですでにドン引きだ。
「やめよっかな・・・。」
「あれ、そもそもなんでここに来たんだっけ・・。」
「はたして、高所恐怖症ってこれで克服できるのかな・・。」
も〜頭の中で自問自答の繰り返しだ。
そんな中、スタッフの人に促されるように処刑台・・いや、飛び降り台へ・・。
※当時の彼女撮影
飛び降り台にデカデカと掲げてある、
「縦バンジー 自己との闘い 勇気・決断」
という、非常にヘヴィなコピーが胸に突き刺さる。
ここまでくると、俺の中では、レジャーの域をとっくに超えている。
もはや人生ゲームだ。
もうね、足はガクガク、手は汗でビッショリ、血圧上がりまくり。
たぶん血圧計ったら、200くらい行ったんじゃないかな。(笑)
でも、「後戻りはできない・・」と、飛び降り台に上がった。
ロープを付け終わったところで、
一緒に飛び降り台に上がったスタッフのお兄ちゃんが突然、
「はぁ〜い皆さんご注目ください!只今からバンジーが始まりますよ〜!」
と、突然人が変わったようにマイクで叫び始めた。
まるで呼び込みに成功した、キャバレーの客引きの兄ちゃんバリだ。
気が付くと、遊園地中から集まる視線・・。
おいおいちょっと待ってくれよぉ・・。
人知れずひっそりと飛んで終わらせたかったのに・・・。
人が注目してることで、極力リタイアを無くそうという意図なのだろうが、
俺にはかえって逆効果だ。
どんどん飛ぶ気力が失せていく・・・。
でも、飛び降り台の端ギリギリまで行き、
手を離せば飛び降りるような状態までは何とかこぎつけたが、
上の写真で俺の脇に写っている巨大なエアマットが、
上から見ると、マッチ箱みたいに小さい・・・。
こ・・・
怖ぇ〜ッ!
もう、全身の毛が逆立っちゃって、ガクガクブルブルです。
もう、本能レベルでイヤです。マジで生命の危機を感じてます。
下から見ると、こんな状態。

写真中央の、マメ粒みたいのが俺です。
で、スタッフのお兄ちゃんが、
「では皆さん、ご唱和をお願いしま〜す!」
「1、2、3、バンジーッ!
」
・・・・・・
・・・飛べませんでした・・。
結局、3回トライしても飛べず、リタイア。
もともと負けず嫌いな性格なので、俺の中では「無念のリタイア」は許されないのだが、
この時ばかりは、リタイヤして逆にうれしかった。それだけ恐怖だった。
飛び降り台を階段で下りてきたときの、みんなの呆れたようなドッチラケた目線。
でもね、こう・・生の喜びをヒシヒシと感じてたから、
人の目線もまったく気にならなかった。(笑)
で、その後は当たり前に遊園地で遊んで帰ってきたわけだが、
逆にここから悲劇が始まることになる。
夜、寝ようとして布団に入り目をつぶると、
飛び降り台から見おろした時の光景が克明に浮かんで、
おっかなくなって「ハッ!」となってしまうのだ。
怖くて目をつぶっていられないのだ。
こう・・目をつぶるとちん●んの奥がヒューっとなる感覚に襲われるのだ・・。
男性諸氏にはご理解いただけると思うが・・。
それ以前は、テレビや映画で、高いビルから見おろすシーンとか見ても、
まったく大丈夫だったのに、バンジーリタイア後は、見ていられなくなってしまった。
例えば、マトリックスでネオが高層ビルの縁からケータイを落としてしまうシーンとか。
もう、ちん●んがヒューっとなって、見ていられないのだ。
高所恐怖症克服どころか、さらにひどくなってしまった。
飛んでいたらどうなってただろう・・。克服できたかな・・?
微妙だ。